【消費者の合理的な選択を阻害】ステルスマーケティングを景品表示法で規制すべきか?
消費者庁は2021年11月日に、「たった2週間で巨乳メリハリボディに激変!」などの、サプリメントを摂取するだけでバストアップ効果が得られるとの表示には根拠がなく、景品表示法に違反する行為(優良誤認)に当たるとして、サプリメントの販売会社と、同社の通販事業を運営する会社に再発防止命令を出した。
この違反行為のなかで、消費者に宣伝と気づかれないようにする宣伝「ステルスマーケティング(ステマ)」も行われた。
消費者庁によれば、ステマについて、景品表示法に基づく措置命令を出したのは初めてとのことだ。
ステマを法で規制すべきか?
目次 | 商品モニターであることを隠して宣伝するよう指示 | 消費者庁のこれまでの対応 | 問題の本質 |
商品モニターであることを隠して宣伝するよう指示
2社は投稿者に、商品モニターであることを隠して宣伝するよう指示しており、2018年3月以降、写真共有アプリ「インスタグラム」や成功報酬型のアフィリエイト広告で、「#バストアップサプリ」「バスト育ちすぎてヤバい!?」などと表示した。
対象商品は「ジュエルアップ」と「モテアンジュ」。
各地の消費生活センターには2021年9月までに、2商品に関する相談が約1,800件寄せられたという。
消費者庁のこれまでの対応
2012年5月に、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の⼀部を改定し、クチコミサイトにおけるサクラ記事など、広告主から報酬を得ていることが明示されないカキコミなどについて、
「実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる」
と指摘していた。
「優良誤認表示」とは、商品やサービスの性能・品質などを実際のものより優良に見せかける表示のことをいう。
問題の本質
表示された内容が優良誤認や有利誤認にあたるかも問題ではあるが、ステマの問題の本質は、
「表示された内容自体に優良誤認や有利誤認の問題がない場合であっても、その表示が中立な第三者の意見であるかのように誤認されるならば、消費者の合理的な選択が阻害されてしまうおそれがある」(「ステルスマーケティングの規制に関する意見書」日本弁護士連合会、2017年2月)。
ということである。
アメリカやEUでは、FTC法や不公正取引行為指令で、「金銭を受け取っていながら、公平な消費者や専門家の独立した意見であるかのように装って推奨表現をすること」などが違法であるとしている。
日本では、中立な第三者の意見であるかのように誤認される表示方法そのものを規制する明確な法規範が存在しない。
景品表示法(景表法)にステマ規制を明確に追加すべきか?
オピニオン
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