【台湾有事】日本は要するに台湾を最終的にどうしたいと思っているのか?(二択で)
台湾有事が近づいているという見方が広がっている。
台湾有事の際は日本は自動的に巻き込まれる。
中国が台湾兵糧攻めに着手すれば、日台間の貿易はもちろん、日中間の貿易も滞る。
中国が台湾に軍事侵攻する場合には与那国島と石垣島を含む領域が海上封鎖され、台湾空軍機と中国軍機が空中戦闘をし、尖閣諸島には中国海上民兵が上陸するなどとされている。
台湾有事は、それが軍事侵攻という手段が採られた場合、仮に米中のすべての核兵器がサイロに残ったままだとしても、全世界に深刻な結果をもたらすと考えられているので、それが起こらないように力を尽くすことになる。
しかし戦争が起きないようにするために日本が力を尽くしても戦争が起きてしまうことがある。
中国は鄧小平の時代の「韜光養晦」から「中華民族の偉大な復興」への転換を宣言し、「台湾統一は歴史的必然だ」としているが、一方、台湾世論は「台湾アイデンティティー」を強めており、統一を拒否している。
2024年1月の台湾総統選に関して2023年3月に台湾で行われた世論調査でも「台湾は主権を持つ独立国家である」と議会で発言した民進党の頼清徳氏がリードした。
台湾の民意は「現状維持」であり、「統一」ではない。
戦争により中国のGDPは25~35%減少するという試算もあるが、中国の習近平国家主席は台湾を統一すると明言し、中国共産党総書記として異例の3期目を手に入れた過程で「台湾統一を実現するのに2期では時間が足りない」として反対派を説得しているとされる。
ただしこのことは軍事侵攻という手段が採られることを直ちに意味するものではなく、広い意味での情報戦という見方もある。
ロシア・ウクライナ戦争を見れば、キネティック戦闘による戦争に勝者はいないということが改めてわかる。
カール・フォン・クラウゼヴィッツのテーゼ「戦争は一つの政治的行為」は既に古く、「戦争を起こした時点で敗北となる」とすべきであるといえる状況を、私たちは目の当たりにしている。
また、中国はこれまで海軍の強化を重視してきたため、陸戦用の装備は開発が遅れているとみられる。
中国共産党が自らの統治を危うくしかねないような行動に進むとは考えにくいという意見がある。
中国が世界一の経済大国、軍事大国になるという夢を捨てるのだろうか、というものである。
習近平国家主席は近年「中国人は中国人と戦わない」と何度も繰り返しており、大規模侵攻を否定しているという見方もある。
長い目で見れば(軍事侵攻せずとも)時間が中国に味方するという目論見でもある。
さて、
日本は台湾との連携や協力をどうするべきか?
日本の自由と安全、繁栄などの国益はどうすれば守れるのだろうか?
という本質的な目標(戦略目標)を考えずに、「反撃能力」など「日本が台湾有事に巻き込まれないため」の方法と手段を議論することはさまざまな弊害を招くという指摘がある。
「日本は台湾を最終的にどうしたいと思っているのか?」
について二択で答えていただくために、もし近い将来、台湾が中国に併合されたら日本はどのような事態に直面するのかを簡単に考えてみる。
ここでは主に次の5つの要素から考えてみる(食料安全保障の問題は重要であり、別途問いたい)。
「日本の道義的責任」から考えた場合、「日本に助けてほしい」と願う台湾民衆の切実な思いをどうするか?
「経済・通商面の影響」から考えた場合、日本は国内消費のみならず、輸出ビジネスも成り立たなくなるのをどうするか?
「軍事面での影響」から考えた場合、先島諸島の安全はもとより、沖縄や九州も直接の脅威に直面することをどうするか?
「民主主義陣営としての責任」から考えた場合、民主主義の価値や原則が脅かされ、世界で自由や人権の尊重が脅かされ、人権侵害が増加することをどうするか?
そして「地政学的な影響」から考えた場合、世界秩序の大転換が起こることをどうするか?
以下の2つの選択肢なら、あなたの考えに「より」近い方を選んでほしい。
あなたの考えにより近いが、それでも差異がある、という場合はその理由をコメント欄で教えてほしい。
目次 | 選択肢1「なんとしても中国による台湾の「併合」を阻止する」 | 選択肢2「中国による台湾の「併合」を受け入れ、なんとしても台湾有事に巻き込まれない」 | 日本の道義的責任 | 経済・通商面の影響 | 軍事面での影響 | 民主主義陣営としての責任 | 地政学的な影響 | 日本が基地の利用を断った場合、アメリカはどうするか? | 参考にした資料 |
選択肢1「なんとしても中国による台湾の「併合」を阻止する」
日本は、中国による台湾の「併合」の阻止を戦略目標に掲げ、中国の「侵攻」を抑止できなかった場合に備えて、台湾の「残存性」「強靭性」を高める支援をすべきである。
人知の限りを尽くしても戦争の阻止に努めるが、もしその過程で「存立危機事態」を認定し、アメリカと共に戦争に介入し、甚大な損害を被ったとしても、台湾の「併合」の阻止をすべきである。
日本の経済を守るために、早急に企業の中国拠点を縮小・撤退し(日本のすべての製造業が、中国で運用する対日輸出拠点を日本もしくは新興国の新拠点で代替する場合の、移転の初年度に生じるコストはおよそ13兆7000億円と見込まれている)、エネルギー調達を中東からオーストラリアやアメリカなどにシフトし、事態に備える。
こうした行為自体が「侵攻」を抑止する効果をもつ。
それでもやむなく戦争になった場合の戦費は国債の発行と増税で調達する。でも誰が中国と戦争をする国の国債を買うのか?---「民主主義を守るため日本が立ち上がった」「台湾海峡は国際公共財。この平和と安定を守る必要がある。それに日本が貢献する」というイメージをつくることで、日本への投資を促す。
選択肢2「中国による台湾の「併合」を受け入れ、なんとしても台湾有事に巻き込まれない」
日本はとにかく国内への物理的被害や人的被害を最小にとどめるように、「反撃能力」などを強化して抑止力を向上させる。
人知の限りを尽くしても戦争の阻止に努めるが、開戦の場合はアメリカや台湾への協力を断り(協力すると日本が攻撃対象になる可能性が高い)、断ったことによる影響も受け入れる(断れなくてもサボタージュなどによって遅らせる)。
台湾市民の思いや、国内産業や輸出など経済への深刻なダメージや、離島や沖縄などへの脅威や、世界の自由や人権の尊重の後退や、世界秩序の大転換などは受け入れ、中国主導の秩序に従うことも受け入れる。
国内への当座の物理的被害や人的被害の最小化が国の指導者に求められる最も重要な要素である。
中国主導の秩序に従うことは必ずしも悪いことではなく、仮に国境線が変更になったとしても、より多くの人命を守ることができれば、より長い目で見れば、日本が世界で果たすべき役割が大きく変わり、仮に日米安保が終了しても、その先に別の道が開くこともある。
日本の道義的責任
台湾の親日感情や有事に際しての日本への期待に対して、日本は道義的にどう行動するのか?
台湾市民の感情は、おおまかに親日が2、嫌日が1くらいの割合であるとされる。
日本には好意もあるが恨みを忘れている訳ではなく、親日感情として受け止められている背景には、国家存亡の観点からも、日本世論を敵に回せないという打算や我慢や苦悩もあると考えられている。
台湾が自国の存亡を賭けた外交を展開しているという文脈からみると、東日本大震災義援金が1位のアメリカとほぼ並ぶ金額だったことにも、純粋な援助の気持ち以外にも打算などさまざまな思いが込められているとも考えることができる。
しかしそれでも多くの台湾市民が親日感情や日本への期待を抱いている。
台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」の2021年10月の世論調査によれば、58%の台湾市民が、中国が台湾を武力攻撃したら「日本が出兵して台湾防衛に協力する」見込みがあると答えており、また2022年8月の同世論調査では60%の台湾市民が「日本が防衛兵器を含む様々な必要な援助を提供する」と信じていると答えている。
日本の出兵に対する期待が、米国に対する期待を上回る結果が出た世論調査もある。
この背景には、「日本に助けてほしい」と願う台湾民衆の切実な思いがある。
日本はこれを「誤解だ」と切り捨てることができるのだろうか。
経済・通商面の影響
経済は政治から独立ではいられない。冷戦終結後に謳歌した、経済合理性だけを追求すればよい「バラ色の世界」は幕を閉じたと考えられている。
台湾島南方のバシー海峡は、日本と欧州、湾岸地域、豪州を結ぶシーレーンが結束する戦略的要衝であり、経済的にも軍事的にも日本の大動脈である。
もし、バシー海峡が自由に通れなくなると、商船やタンカーはフィリピンの東側を大きく迂回し、インドネシアのロンボク海峡を抜けてインド洋へと向かう別ルートを通らなければならなくなる。距離で約1000海里、15%程度長くなり、それに伴う経費や航行時間の増大と 日本経済に与える影響は膨大なものが予想される。
日本は1次エネルギー国内供給のうち約4割を石油に依存し、このうち中東産が約92%を占め、経費や航行時間の増大により巨額の国富が流出することになる。
航海日数が増えれば原油タンカーの数を増やす必要も生じるが、確保は困難であると見られている。
さらに、中国が台湾兵糧攻めに着手すれば、日台間の貿易はもちろん、日中間の貿易も滞る。
日本の自動車部品における中国への依存度は約39%であり、旗艦産業の首根っこを中国に押さえられている。ダイオードなど単機能の半導体部品においては約51%におよぶ。
中国から輸入しているすべての中間財の80%が2か月にわたって途絶したら、日本全体の生産金額が約53兆円ダウンするという試算がある。
また、日本は多機能半導体部品(集積回路)の輸入の約55%を台湾に依存している。
台湾が中国に併合されれば、現在台湾で生産されている最高レベルの半導体のサプライチェーンが崩壊する。
台湾への高度な半導体製造装置の輸出にも大きな影響を与えることになる。
これらが入手できなくなれば、これらをパーツとして使用する家電やIT製品の製造が困難になる。
この供給の制約により、国内消費のみならず、輸出ビジネスに占める大きな割合が成り立たなくなる。
軍事面での影響
中国は「孫子の兵法」の国なので、最初から武力攻撃はやらず、できれば戦わずして取りにいくといわれている。
中国は台北の総統府と同じ建物を国内に作り、特殊作戦部隊が一挙に落下傘で降りて、総統以下を掃討する演習を行っている、という情報もあり、併せてサイバー戦や工作員などで騒擾状態を作り出すと考えられる。
中国が台湾に軍事侵攻する場合にはほぼ確実に、台湾への大規模なミサイルとロケットの攻撃から始まり、24時間の爆撃が行われると予測されている。
初めは軍事的・政治的標的であり、次に発電所や燃料貯蔵所などの民間インフラが爆撃される。
台湾の衛星を破壊し、台湾の14本の海底ケーブルを切断し、電子戦を使用して指揮統制システムを混乱させ、アメリカやその同盟軍との通信をできなくする。
海底ケーブルの切断は有事における常とう手段であり、日本は日露戦争において、旅順封鎖を進める過程でロシアが利用する海底ケーブルを切断している。
情報封鎖により、台湾の総統が「台湾のゼレンスキー」になるのは困難となる。
与那国島と石垣島を含む領域が海上封鎖され、台湾空軍機と中国軍機が空中戦闘をし、尖閣諸島には中国海上民兵が上陸するなどと見られている。
アメリカ参戦を始めとしたさまざまなシナリオが考えられているが、軍事侵攻の有無にかかわらず、中国が台湾を併合すれば、台湾島自体を大規模に軍事化することが想定される。
中国の偵察能力、戦力投射能力は第一列島線を超えて東側に広がり、今よりも格段に拡大、強化されることが確実となるとされる。
中国が南シナ海や東シナ海の主権を主張する行動をとり、これにより日本を含む周辺国との紛争が激化する可能性がある。
先島諸島の安全はもとより、沖縄も直接の脅威に直面する。鹿児島を始めとして九州さえ危なくなるとの見方もある。
民主主義陣営としての責任
多くの人々から模範として見られている台湾の民主主義が脅かされる可能性に対して日本はどのような責任を果たすべきか?
仮にアメリカがハワイ-グアムのラインまで撤退するという選択をした場合、日本は、第一列島線を越えて西太平洋に拡大する中国の影響圏の中に飲み込まれてしまい、「赤い海に浮かぶ民主主義の孤島」となりかねないともいわれる。
台湾の民主主義が脅かされた場合、世界の民主主義勢力が弱体化し、権威主義の勢力が台頭する可能性があるとされる。
これにより、民主主義の価値や原則が脅かされ、世界で自由や人権の尊重が脅かされ、人権侵害が増加する可能性がある。
また、民主主義国家は、民主的な手続きに基づいて紛争を解決することができるが、民主主義勢力が弱体化すると、対立や紛争が増加する可能性があり、それらを解決する手段が制限される可能性がある。
これらのことに対して日本はどのような責任を果たすべきか?
地政学的な影響
アメリカは「台湾関係法」により、台湾に自己防衛に必要な兵器を供給し、自らも台湾防衛に必要な軍事能力は保持すると宣言しているが、この約束が守れなかったということになれば、地域諸国のアメリカへの信頼は当然大きく揺らぎ、優位性やリーダーとしての地位は大きく揺らぐことになるといわれる。
アメリカ主導と中国主導の2つの秩序の併存、さらに局外中立の国々というように3分割され、世界秩序の大転換がおこる可能性が指摘されている。
日本が基地の利用を断った場合、アメリカはどうするか?
もし台湾防衛などに際して日本がアメリカ軍による日本の基地の利用を断った場合、アメリカはどうするかをAI(ChatGPT Model GPT-3.5)に聞いてみた。
※あくまでご参考として。
--AI(ChatGPT)の回答ここから---
1.別の基地の利用
もし日本の基地の利用ができなくなった場合、アメリカは別の基地を利用することを検討するでしょう。アメリカは世界中に多数の基地を有しており、そこからの航空支援や海上支援を行うことができます。
2.自己完結型作戦の実施
アメリカは、可能な限り自己完結型の作戦を行うことができます。例えば、航空機母艦を利用して航空攻撃を行ったり、無人攻撃機を利用して遠隔地から攻撃を行ったりすることができます。
3.日本との交渉
アメリカは、日本政府との交渉を行うことで、基地の利用を継続するための解決策を模索するでしょう。この場合、日本政府が求める要求を満たすことで、基地利用の継続が可能になる可能性があります。
4.政治的な圧力の行使
アメリカは、日本政府に対して政治的な圧力を行使することができます。例えば、日本政府が自国の国益に反するような行動をとった場合、アメリカは軍事援助の停止や経済制裁などの手段を用いて、日本政府に対して圧力をかけることができます。
以上のように、アメリカがその影響を最小限にするために取り得る手段は多岐にわたりますが、具体的な対応は現実の状況に応じて変わる可能性があるため、一概には言えません。
---AI(ChatGPT)の回答ここまで---
参考にした資料
America and China are preparing for a war over Taiwan(The Economist、2023年3月)
台湾有事に備えよ! もし起こらば、そのとき日本は?(日経ビジネス、2023年1月~2月)
台湾有事「巻き込まれ防止論」という日本の限界(加藤洋一、フォーサイト、2023年3月)
元陸自トップが語る「台湾有事」の可能性と日本の課題(岩田清文、フォーサイト、2021年12月)
兩岸軍事危機下的台灣民意(台湾民意基金会、2022年8月16日)
如果中共武力犯台,台灣人對日本提供各種必要援助的信心(台湾民意基金会、2022年8月16日)
オピニオン
2023/03/28 10:47
2023/03/28 10:54
2023/03/28 01:51 (編集済)
2023/03/28 09:19
2023/04/04 22:57 (編集済)
2023/03/28 09:35 (編集済)
2023/03/26 19:05
2023/03/28 11:18
2023/03/26 19:12
2023/03/28 13:44