親を介護するためにもっとも重要なことは?
親が高齢者と呼ばれる年代になると、「そう遠くない将来、介護が必要になるかもしれない」と気がかりなものだ。
もしかすると、自分自身の仕事が超多忙なときに、そのときがやってくるかもしれない。
仕事との両立に行き詰まり、「離職するしかない」と思い詰めたり、きょうだいで介護の押し付け合いになったりしないか、と不安を抱える人もいるだろう。
かと言って、親の介護がどのようにして訪れるのか予想はつかず、備えることは難しい。
そもそも何を備えればよいのだろう。
親が転倒して骨折し要介護になるのか、大病を患って入院し、その後に要介護になるのか……。
交通事故にあうことだって考えられる。
認知症になるかもしれない。
親の性格や家族の人数、関係性によっても違ってくるが、あなたの親が倒れて要介護となった場合、何がもっとも重要だろう?
心積もりをしているのと、していないのではその時の初動が異なり負担感にも影響する。
親の顔を思い浮かべながら一択で。
目次 | 事前に準備をしていない人が6割以上 | 介護実践者の多くが「公共サービスについての情報収集をしておけばよかった」 | 親の不安は「家族に負担をかけること」 | 関連するイシュー | 参考にした資料 |
事前に準備をしていない人が6割以上
「近い将来、親の介護をする可能性はありますか?」と30代以上の男女に対し尋ねた調査がある(*1)。
3 割近くが「可能性がある」と答えている。
さらに、「介護に備えて、すでにやっていること」を聞いたところ、「何もしていない」が61.5%にも及ぶ。
事前に介護に対して準備をしていない人が多数いるということだ。
一方、実際に介護が始まった人に対し、「親の介護を始めたことで、困ったことや気持ちの面で変化はありましたか?」という質問をしている。
多い順に「経済的な不安があった」「何からどう始めたらいいのかわからず困った」「仕事を急に休まねばならないなど、仕事に支障がでて、職場に迷惑をかけてしまった」。
介護実践者の多くが「公共サービスについての情報収集をしておけばよかった」
いざ介護となった場合、何から始めたらよいのか、じっくり考える余裕はない。
例えば、親がケガや病気で入院した場合、現在は入院期間が短いので、瞬く間に退院の日がやってくる。
手術のキズは完全には治っておらず、不自由な状態かもしれない。
しかし、自分には自分の生活があり、気持ちはあっても時間がなくて「いったい誰が、介護をするのだ?」という事態になることが少なくない。
先と同じ調査で、事前に「やっておけばよかったと思うことは何か」とも質問している。
半数近くが、「公共サービスについての情報収集をしておけばよかった」と回答。
次いで、「介護を受ける親本人との話し合い」「介護費用を貯めておけばよかった」。
親の不安は「家族に負担をかけること」
他方、65歳以上の親世代に対し、「将来、排せつ等の介護が必要な状態になると考えた時の不安点」を尋ねた調査がある(*2)。
多い順に、「家族に肉体的・精神的負担をかけること」(65.6%)、「身体の自由がきかなくなること」(53.6%)、「介護に要する経済的負担が大きいこと」(40.0%)。子だけでなく、親本人も将来の自身の介護に不安を感じているということだ。
しかも、家族に負担をかけることを恐れている。
その結果だろう。
「排せつ等の介護が必要な状態になった時、誰に介護を頼みたいか」との質問には、「ヘルパーなど介護サービスの人」(46.8%)が最も多い。
次いで「配偶者」(30.6%)。
「子」と答えているのは12.9%、「子の配偶者」に至っては1.0%と少数だ。
関連するイシュー
親に介護が必要になったとき、仕事との両立は可能か?
親の介護を子どもが担うのは当たり前か?
高齢の親の年金額や貯蓄額を知っているか?
参考にした資料
(1*)「親の介護に関する調査結果」(PDF)SOMPOホールディングス株式会社、2019
(2*)「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」内閣府
オピニオン
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